第27回介護福祉士筆記試験 解答割れの解説【問題71】

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【質問】

問題71が難し過ぎてまったく分かりません。詳しい解説お願いします。

コレがわかる受験生ってどんな学習をされているんでしょうか?・・・

問題71【ランキング116位 → 5番目に難しい問題】

老年期の精神疾患(mental disease)と精神症状に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 老年期うつ病(senile depression)は,若年者のうつ病(depression)と比べて抑うつ気分が軽い。
2 アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)は,脳の器質的変化を伴わない。
3 うつ病(depression)等で自殺を試みた高齢者が死に至る率は,若年者の場合と比べて低い。
4 せん妄(delirium)は,夜間よりも昼間に生じやすい。
5 老年期に発症した統合失調症(schizophrenia)は,妄想型が少ない。

【回答】

かなり気を使います。下記をご確認ください。

【解説】

老年期うつ病の特徴を調べました。

非常にデリケートな出題ですので、一部分だけを取り出して白黒というよりも、社会問題としてさまざまな角度から考える必要があると思われます。

問題の出題意図は、高齢者のうつ病は症状が軽度な場合があり、見逃されやすい。

なので、老年期うつ病の特徴や症状の知識を広く介護関係者にもっていただき早期発見と適切な対応をお願いしたいという願いがあるのだと思われます。

 選択肢3についての明確な統計は発見できませんでした。

下記の文献には

【自殺企図は年齢とともに減少する(つまり,高齢者は完遂率が高い)といわれているが・・・】伝聞系のコメントがあります。


■選択肢3が×となる出典

3.高齢者の自殺

張 賢徳 中原 理佳(日老医誌 2012;49:547―554)

http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_geriatrics_49_547.pdf


■選択肢1が○となる出典

■厚生労働省HPより

高齢者のうつ病の特徴として、次のような点が指摘されています。

・症状がそろっていないうつ病の頻度が高く見逃されやすい。悲哀の訴えが少なく、気分低下やうつ思考が目立たない。

・意欲や集中力の低下、精神運動遅延が目立つ。健康状態が悪く、気分の低下、認知機能障害、意欲低下が見られる患者ではうつを疑うべきである。

・心気的な訴えが多い。記憶力の衰えに関する訴え(「ものおぼえが悪くなった」「物忘れが増えた」)がうつ病を示唆する重要な症状である可能性がある。抑うつ気分と記憶に関する主観的な訴えとは強く関連している。とくに65-75歳の比較的「若い」高齢者でその傾向が強い。認知症外来を受診する患者の5人に1人はうつ病性障害であるといわれている。

・軽症のうつ病は、身体的な不健康と関係があり、意欲・集中力の低下や認知機能の低下がみられることが多い。高齢者のうつ病は軽症に見えても中核的なうつ病に匹敵するような機能の低下がみられることが多く、中核的なうつ病に発展することも多い。したがって、うつ病の症状が軽そうに見えるからといって決して軽視してはならない。

・器質的原因、薬物起因性のうつ病は若年者よりも高齢者で多い。

・脳血管性病変に関連する「血管性うつ病」の存在が考えられており、脳血管性障害の患者はうつ病の可能性が高い。

・不安症状がしばしば併存する。不安が前景にあると背後にあるうつ病を見落としてしまうことがあるので注意が必要である。

・双極性障害(躁うつ病)に伴ううつ病の可能性も考慮しておかなくてはならない。双極性障害は通常はより若い年代で発症する。晩発性の発症の場合には、器質性の脳疾患の存在を疑う。

・双極性障害の詳細は、日本うつ病学会のホームページ(http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/)で知ることができます。

出典 厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-siryou8-1.pdf

 

正解 1  で間違いないでしょう。


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