第27回介護福祉士筆記試験 解答割れの解説【問題31】

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問題31 慎重に検証してみました。下記になります。
奥の深い学術的な学習をされている受験生は、回答不能かもしれません。
まずは、問題文を確認します。

 問題31【ランキング90位 → 31番目に難しい問題】

疥癬(scabies)とその対策に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 マダニが皮膚に寄生することで発生する皮膚病である。
2 感染した皮膚には変化が見られない。
3 感染した利用者は他の利用者と同室でよい。
4 感染した利用者の衣類や寝具の洗濯は他の利用者のものと一緒でよい。
5 感染した利用者の入浴は,順番を最後にする。

【質問・問合せ】
問題31の解答がわかれており説がたくさんありどう解釈してよいか困っています。
この問題で合否が分かれるかも知れないので納得できる解説をお願いします。

【解説】
かなりきわどい解説をします。
結論 本質的には問題31は不適切問題!?では

理由

問題文を通常疥癬と判断すると、選択肢3が○

問題文を(角化型疥癬=ノルウェー疥癬)と判断すると選択肢5が○

問題文では、どちらの疥癬ともうたっていないのでため解答不能と判断しました。


文献 日本皮膚科学会の疥癬診療ガイドライン(第2 版)の10P 表4には下記のように記載があります。

 kaisen

要約すると、

通常疥癬の場合は

・隔離 不要

・入浴 特に対策は不要

角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の場合は

・隔離 必要

・入浴 最後


言いたい事は、疥癬と聞いたときにどのレベルの疥癬なのかを判断して、疥癬診療ガイドラインに準じた対策をするかが本質です。

この問題の作者が3を正答とするのであれば、疥癬=通常疥癬という思考回路には疑問が残ります。通常疥癬と書くべきでしょう。
疥癬の知識が曖昧では、利用者さんと介護職員が危険にさらされます。

きちんとした答えは、どうかんがえても下記になります。

通常疥癬の場合は
・隔離 不要
・入浴 特に対策は不要

角化型疥癬の場合は
・隔離 必要
・入浴 最後

 ★勉強している受験生は、【疥癬ってどっちの疥癬?】って困ります。

 この問題で合否が分かれる受験生は沢山いますし、実技試験への影響もかなり出ると思われます。

この問題のポイントは【疥癬=通常疥癬】と解釈して解くのか
【疥癬=通常疥癬 OR 角化型疥癬】と解釈して解くのか
によって解答が割れます。

言葉遊びで解答が割れるような問題は、奇問といえるでしょう。

■1月25日に掲載した内容
皆さまは、疥癬に感染なさったかたの、皮膚などをご覧になったことがおありでしょうか?
もしも、まだ1度も・・・という、受験生さんは、ぜひネットで検索なさってみて下さいね。とても、勉強になり、御仕事にも大いに役立つとおもわれます。
さて。
疥癬とは、『ヒゼンダニ』によって起こる、皮膚感染症の1つになります。
かゆみが、とても強いのが特徴で、ぽつぽつとした、発疹が散発します。皮膚のやわらかい部分にできやすく、指のあいだ、腹部、大腿の内側、陰部などに起きやすいとされます。
人から、人へと感染するため、介護施設などでも集団感染してしまうこともあります。
可能であれば、患者さんには一時、個室で過ごしていただき、介護者は予防衣の着用、手洗いの徹底が基本となります。
感染者の衣類・寝具の洗濯は、他の利用者さんのものとは、別にすることもたいせつですね。
近年では、内服薬が保険適用になり、内服治療が可能な患者さんにおいては、簡便な治療も可能となってきました。
ただし、ダニの卵には効果が無いとされ、また、疥癬アレルギーによる症状もあることから外用治療と、かゆみに対する治療が必要となる場合もあります。


疥癬診療ガイドライン(第2 版)リンク

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913831_4.pdf

【特集号 あとがき】
問題31の取り扱いがとても心配です。
過去の試験では、不適切問題の場合は全員に配点でしたが、今回は、3と5以外を選択した受験生に配点するとまたおかしなことになってきます。
合否を分けそうな最後の1点で下記の選択肢を選んで合格という現象は、どう考えても不合理とおもいませんか?
【選択肢4 感染した利用者の衣類や寝具の洗濯は他の利用者のものと一緒でよい。】
救済措置は、3か5を選んだら救済され1点加点が適切な対応と思われます。
この記事で、合格できたという受験生がおられるとなによりです。
2月14日の吉報を待ちましょう!
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